今年で87回を数える伝統のフランスGPで、BMW Williams F1チームのマシンは予選セッションでライバルに対して圧倒的なスピードを見せつけた。この日26回目の誕生日を迎えたラルフ・シューマッハは、コースレコードを更新する1分12秒台の驚異的なタイムを叩き出し、ポールポジション(PP)を獲得。これは自身にとって初のPPというだけでなく、参戦2年目となるBMW Williams F1チームにとっても初めての快挙だった。そしてBMWパワーにとっては、86年のイタリアGP以来、通算16回目のPP獲得となった。一方のファン・パブロ・モントーヤはアタックラップ中に他のドライバーに走行を邪魔されて6番手に終わっているが、時速310キロにも迫る最高速をマークしており、仕上がりの良さを見せていた。
初夏の太陽が照りつける快晴の中で行われた日曜日の決勝レース。完璧なスタートを決めたラルフ・シューマッハは、フェラーリとマクラーレンのマシンを従えてトップを周回していく。FW23はストレートでもコーナーリングでも挙動が安定しており、快調なペースでラップを重ねていく。そして25周目、ラルフのFW23はフェラーリに対して約3秒のマージンを築いてピットイン、10秒3のストップタイムでコース復帰を果たす。翌26周目には、今度は2位につけていたフェラーリのミハエル・シューマッハがピットインするが、こちらは給油量を少なくして僅か7秒7というタイムでコースに戻る。ここで、ラルフは兄ミハエルに逆転を許してしまった。ラルフは懸命なドライビングで首位奪還を目指すが、2セット目のタイヤが大きな問題を抱えており、マシンのバランスが悪化。コーナーの進入ではアンダーステア、出口ではオーバーステアという状況で、ペースが上がらない。それでもラルフは辛抱強くFW23をゴールまで導き、苦しい展開となったバースディ・グランプリでも2位という結果を残した。
モントーヤはスタートで4位にポジションアップし、終始、安定したペースでラップタイムを刻んでいく。そしてタイヤ交換のタイミングではあったが、2度も首位を走行するという場面もあった。しかし、モントーヤは3位走行中の52周目に突然のエンジントラブルが発生してリタイア。モントーヤは今回ラルフより上位でフィニッシュできた可能性が高かっただけに、惜しまれる結果となってしまった。